読んでほしい小説
「下町ロケット」 池井戸 潤 著
家業の町工場を継いだ社長 佃が自ら開発した新しい
技術を守りぬくプロセスが感動的である。資金調達
の労苦、特許侵害の訴えなど、企業の実状が伝わり、
技術者が何のために働くのかを問いかける。
「人魚の眠る家」 東野 圭吾 著
脳死と臓器移植に直面する当事者たちの心情が
ひしひしと伝わってくる。重い障害や疾患を持つ
人を救う様々な立場や方法を知ることができて、
「親の愛」や「死」について深く考えさせられる。
「秘密」 東野 圭吾 著
バスの転落事故で奇跡的に助かった娘の体に、
死んだはずの妻の魂が宿る。人生をやり直す
べきかがテーマの一つであり、現実世界の戻ら
ない一瞬一瞬が貴重に思えるようになる。
「夜のピクニック」 恩田 陸 著
一昼夜歩き続ける学校行事『歩行祭』に参加する
高校生の話。友人関係、恋愛など、小さなエピソ
ードにともなう生々しい高校生の心の動きに触れ
ることで、おだやかな幸福感を味わえる。
「そして、バトンは渡された」
瀬尾 まいこ 著
血のつながりを超えて、自分ではない誰かのために
精一杯尽くしているときが本当の幸せであること、
他人から精一杯愛されているときの大きな幸福感、
その両方を強烈に描き出している。
歴史小説編
なぜ日本は太平洋戦争で壊滅的な敗北に至ったのか、
その答えの一端が 四国を舞台とする下記三作を読み
連ねることで見えてくる。
司馬遼太郎が膨大な文献閲読と独自の取材により
書き上げた数多くの歴史小説を元に、「日本人」
の気質について議論できる下地を身につけたい。
「功名が辻」(一)〜(四)
司馬 遼太郎 著
戦国の三傑に仕えた山内一豊は、愚直なまでの
忠誠心により妻・千代の助けを借りながら土佐
の大名にまで登りつめる。長宗我部氏の家臣へ
の大粛清が幕末まで大きな遺恨を残す。
「竜馬がゆく」(一)〜(八)
司馬 遼太郎 著
倒幕・明治維新は関ヶ原の戦いの再戦である。
長宗我部氏の家臣をルーツとする坂本龍馬は
虐げられた西軍の鬱屈したエネルギーの象徴
であり、日本人の愛国心醸成の原点である。
「坂の上の雲」(一)〜(八)
司馬 遼太郎 著
賊軍・伊予松山藩出身の秋山兄弟が日本軍の
陸と海の守護神として日露戦争の勝利に貢献。
科学的数学的合理性に基づいた高密度の訓練
と規律が日本に過大な成功体験をもたらす。
日本人の気質である『冷徹なリアリズム(合理主義)』
『無私の使命感』が結実した明治の成功体験が結果
的にリアリズムのみを剥ぎ取り、精神論を肥大化さ
せた『狂信的とも言える楽観主義』へと変質した。
「ローマ人の物語」(1)〜(43) 塩野 七生 著
なぜ巨大なローマ帝国だけが1000年以上も繁栄
し続けたのか、その理由が解き明かされる。
大きな組織を統治する秘訣が凝縮された、現代を
生きる私たちへの示唆に富んだ壮大な物語である。